中国ビジネスの始め方 (1)
「中国でビジネスを始めたいけど・・。」 10年前には、中小企業から海外進出の相談を受ける際に、最も良く受ける相談の一つであった。
結果として、上海には9,000件を超える日本からの投資プロジェクトが存在し、操業中の日系企業数も6,000を超える。上海を中心とする華東地域は、世界でも最も多くの日系企業が存在する地域である事は間違いない。
「中国リスク」に関する報道が日本国内には溢れている。2005年、2010年、2012年と立て続けに反日デモが発生し、2012年の9月には青島を始めとする各地の日系企業で大きな被害が発生したことは記憶に新しい。政治の軋轢が、経済に影響を及ぼす要素を否定出来ないのは事実であろう。
一方で、中国経済が急速に成長しているのも事実である。2013年、中国のGDPは既に日本の2倍、上海の隣にある江蘇省のGDP(GRP)は、一つの省でインドネシアのそれに近く、タイの倍、日本企業の注目を集めるミャンマーの十数倍にも達する。世界経済が全般的に落ち込む中で、この経済成長を上手く取り込めないとしたら何とも言えないもどかしさがある。
ジェトロが行っている「在アジア・オセアニア日系企業活動実態調査 2013」によると、在中国の営業利益見込みが「黒字」と答えた企業は60.7%、「均衡」が17.5%、「赤字」が21.7%となっている。台湾や韓国、タイと言った上位国に比べると収益性は落ち込むが、黒字比率の単純比較においてミャンマーやベトナムと肩を並べ、インドよりはかなりの好成績を上げている。年度の前半は日系シェアの落ち込みや景気の足踏み状態も業界によりあったと言われるが、それでも過半の企業が黒字経営となるだけの素地の良さがここにはある。
6割の企業は黒字だが、一方で21.7%の企業は赤字である。好景気な業界も多いが全てでは無く、また経営戦略を吟味し上手く事業展開をして行かないと、赤字となってしまう厳しさも持ち合わせている市場である。毎年人件費が高騰し、中国でモノを作って日本に送るよりは、日本でモノを作った方が良いモノもあると言われている。一方で、中国向けにモノやサービスを提供するのであれば、十年前には考えられなかった規模の市場がここにはある。
では、中国に展開するにあたりどの様な経営が求められているのであろう。企業は多種多様であり、一概にモノを言うのは困難であるが、もしかしたら下記のレポートにヒントがあるかもしれず、もしご興味があれば参考にして頂きたい。
中国内販に成功している中小企業事例調査報告書(2012年版)(2012年5月)
中国内販に成功している中小企業事例調査報告書(2011年版)(2011年5月)